心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
「宝石みたい……。まるで伝説の聖女様のよう……」
そこまで言って、エマはハッとした。
光り輝く黄金の瞳。生まれた日に光が見えたあと突如回復した自分と、キレイになっていた赤ん坊と部屋──。
伝説の聖女様の特徴と似てる……!
エマは鼓動が速くなっていることに気づいた。
「もし……もし本当にこの子が聖女なら、王宮に引き渡すことができるわ。そうなれば私の今後も安泰だし、聖女を産んだ母親として私自身も崇められるかもしれない……!」
エマの手は興奮と期待でプルプルと震えた。
虚偽の申告をしては大変である。
確実にこの娘が聖女だとわかるまでは様子を見ようと、エマは心に決めた。