心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
58 執事さん、興奮しすぎです
「マルケス。今光を浴びた者達の元へ行き、どんな効果や変化があったのか調べてくるように」
「承知いたしました」
陛下にマルケスと呼ばれた執事は、そう返事をするなり足早にこの場を離れた。
バタバタと慌ただしく動いている人達を見て、マリアはなんだか申し訳ない気持ちになる。
自分のちょっとした行動のせいで、彼らの仕事を増やしてしまったと罪悪感が湧く。
「あ、あの、陛下。勝手にこんなことをしてしまって、申し訳ございません」
「何を言う、マリア嬢よ。あの光の効能がわかれば、あれは我が国にとって救いの薬になるかもしれないのだ。謝ることなど何もない」
謝罪をしたマリアに向かって、陛下は優しく微笑んでくれた。隣に立つ王妃もニコニコしていた為、マリアはホッと胸を撫で下ろした。
良かった……!
勝手なことをしたから、怒られるかと思った。
命令されたこと以外をしたならば、イザベラから容赦ない折檻を受けていたマリア。
今回も陛下や王妃から責められるのではないかと不安になっていたのである。