心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
しーーんと静まり返る室内。
執事とメイド達は、だらだらと冷や汗を垂らしながらマリアをチラリと見た。
「ご……ごめんなさ……」
涙目で真っ青になっているマリアに気づき、それ以上に真っ青になる。
慌て出した執事達は、必死にフォローを始めた。
「マリア様が謝ることなんて、何もないですよ!」
「そうです! 急にこんなこと言い出したこちらのせいです!」
「お疲れだったのに、申し訳ございません!」
あわあわして謝罪してくる執事達を見て、マリアは一層申し訳ない気持ちになった。
光のカケラを作れなかっただけでなく、こんなにも気を遣わせてしまっている。
お互いが罪悪感で胸を痛めていると、部屋の扉が開きエドワード王子が入ってきた。
「……お前達、何やってるんだ?」
「エドワード様……」
マリアがボソッと呟くと、その横で片膝をついていた執事がバッと立ち上がり、マリアの後ろに移動して何事もなかった顔で姿勢を正した。
エドワード王子は執事の行動を目で追った後、視線をマリアに戻す。