心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
「なんだ?」
「マリア、光の粒を出せないんです……!」
「は?」
不甲斐ないマリアを咎めてこない優しい執事達と違って、エドワード王子ならしっかり叱ってくれるはず。
そう思って報告したのだが、状況を把握できていない王子はポカンと口を丸く開けただけだった。
先ほどまでの経緯を執事が話すと、エドワード王子は「ふーん」と興味のなさそうな返事をした。
「なんだ。あの光、もう出せないのか?」
「……さっき初めて出したの。だから、どうやって出すのかマリアにもわからなくて……。ごめんなさい」
正直に話すと、執事は困った顔もせずに優しく微笑んだ。
理由がわかってホッとしているようにも見える。
「そうだったのですね。無理強いをしてしまい、申し訳ございませんでした」
「でも、これじゃ『けんきゅう』ができない」
「マリア様……」
シュンと落ち込んだマリアを見て、執事はなぜか嬉しそうな表情になる。
こんなにも協力してくれようとしていたのか、と感動したからだ。
手伝いができなくて落ち込むマリアに、執事はある提案をしてきた。