心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
「しかし、最初にマリア様の存在を隠したのは、イザベラ婦人ではなくジュード卿とマリア様のお母上でした。イザベラ婦人が関わったのは、その隠蔽期間……7年間の内、1年だけです」
「…………」
「本来最も重罪なのはジュード卿でございますが、すでにこの世を去ったお方ですので、罰することはできません。グレイ様や執事のガイルさんに聴取した内容によりますと、ある意味イザベラ婦人も被害者であることがわかりました」
「…………」
「なので、処刑は重すぎるという意見が出て却下されました。ですが、いくら被害者とはいえ、マリア様への仕打ちは到底見過ごせるものではありません」
「…………」
「そこでイザベラ婦人には、ご自身がマリア様に行った行為を、そのままご自身で味わっていただくことにいたしました」
「…………え?」
ずっと黙って話を聞いていたマリアは、そこで初めて声を出した。
真剣に話していた執事が、最後のセリフを言った瞬間にニコッと笑顔になったからだろうか。
意外な展開に、思わずポロリと声が漏れてしまったのだ。
そして、話についていけずずっと難しい顔をしていたエドワード王子も、『マリア様に行った行為』という言葉には引っかかったらしい。
「マリアに何をしたんだ、あの女は?」
エドワード王子が質問をしたのを見て、マリアも同じように気になったことを聞いた。
「あの人に何を……したの?」