心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
「……お兄様のお母様? そういえば、さっきもそんなようなことを……。マリアとあの兄は、母親が違うのか?」
「? うん。お父様もちがうよ」
マリアのお父様は誰だか知らないけど……。
「はああ!? お前達は、母親も父親も違うのか!? それじゃ血が繋がった兄妹ではないじゃないか!!」
「う、うん? ちがつなが……?」
「だから兄と結婚するって言ってたのか! ……え!? 本当に兄と結婚するのか!?」
「??? 兄妹は結婚できないってエドワード様が……」
エドワード王子の話は、物凄いスピードで進んでいくようにマリアは感じていた。
お兄様とは母親が違うという話をしていたはずだったのに、なぜお兄様と結婚するのかと聞かれているのか。
兄とは結婚できないとキッパリ言ってきたのは、誰でもないエドワード王子本人だというのに。
意味がわからず戸惑うマリアと、意味がわかっているのに同じように戸惑っているエドワード王子。
気づけば、また眉が少し吊り上がっている。
「本当の兄妹なら結婚はできないけど、血が繋がっていないなら結婚はできるだろ!?」
興奮気味のエドワード王子は、さも当然のように声を張り上げる。
しかし、その当然の常識を知らないマリアにとっては、このエドワード王子の言葉は衝撃であった。
黄金の瞳をパチッと開いて、少しだけ身を乗り出す。
「本当の兄妹じゃないから、お兄様と結婚できる……?」