心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
62 グレイに集まる令嬢達からの視線
「わぁーー……俺、王宮に初めて来たよ」
「普段のパーティーに子どもは参加できないからな」
王宮の煌びやかな廊下を、グレイとレオは歩いていた。
2人以外にも、周りにはたくさんの貴族が期待に顔を輝かせながら歩いている。
「聖女様にお会いできるなんて、楽しみですこと」
「とっても可愛らしいお嬢さんだとお聞きしましたわ」
「ぼく、聖女様とお話したいーー!」
ガヤガヤと所々から聖女の話題が聞こえてくる。
どの声も嬉しそうなものばかりで、否定的な声がないことにグレイは安心した。
7年間も姿を現さなかった聖女。
詳しい事情までは知られていないが、悪徳貴族達に利用されていたという噂だけは広がっていた。
聖女発見とほぼ同時に、何人もの貴族が捕まったという事実から導き出されたのだろう。
捕まった貴族に日々迷惑被られていた人々は、彼らを捕まえるきっかけをくれた聖女に感謝していた。
……大きな声では言えないが。
そんな人々に囲まれながら会場に向かっていると、レオが小さな声で話しかけてきた。