心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない

「何言ってるんだ、お前は。マリアは7歳だぞ? いくら本当の妹ではないにしても、そんな目で見られるか」

「そりゃあ今は7歳だけど、あと10年もすれば17歳じゃないか」

「はあ? 10年経ったら17歳になるなんて、当たり前だろ」

「そうじゃなくて〜!」


 レオはガックリと肩を落とし、ちまちまと食事を続ける。
 何が言いたかったのか理解できないグレイは、レオの言っていた10年後というのを想像してみることにした。

 マリアが17歳になった時、グレイは23歳だ。
 この年齢差が縮まることはない。

 10年後だろうが、20年後だろうが、マリアは自分より6つ年下であることに変わりないではないか。

 

 ……いや。6つ年下というならば、確か父母であるジュード卿とイザベラもそのくらいの年齢差ではなかったか?
 大人になると、そんなに離れていないものなのか?
 ……マリアを自分の婚約者にする?



 グレイは初めてその可能性を浮かべてみた。
 しかし、現在のマリアの姿を想像すると、なかなかうまく考えられない。
 今のマリアは完全に小さな子どもで、とてもじゃないが婚約者候補としてなんて見られない。


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