心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
「そんな中にマリアを連れて行け……とは言わないよな?」
「はい。本来であれば、もう一度陛下や貴賓の方々の前でご挨拶をお願いしたいところですが、今の状況では難しいでしょう。陛下も王妃様も、マリア様の安全を1番に考えております」
「ならば、このまま帰ってもいいんだな?」
「はい。陛下からも許可を得ております」
よし!!
グレイは心の中でそう叫んでいた。
マリアのためのセレモニーとはいえ、やはりこういったパーティーは好きではない。
マリアと一緒に早々に帰れるのであれば、グレイにとっては願ってもないことであった。
レオもグレイと同じ考えなのか、安心したような顔になっている。
グレイが喜んでいることが伝わったのか、マリアもホッとしていた。
この場で唯一、この流れに納得がいかないのは──。