心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
妻にも執事にも伝えたことなどなかったが、実はジュード卿は聖女について詳しく調べていた研究者であった。
女は王宮の方向から歩いて来ていた。
もし王宮に『聖女』のことを伝えていたなら、今この場を歩いているわけがない。
そう考えたジュード卿は、この女が王宮に入れなかったこと、王宮に聖女のことを伝えていないのだとすぐに察した。
まだ誰にも存在を知られていない『聖女』
チャンスだ!! 待ち望んでいた聖女がすぐそこにいる!!
なんとしてもあれを手に入れてみせる!
馬車から降りたジュード卿は、そうしてエマに近づいたのだ。