心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
レオは改めてマリアをチラリと見る。
「?」
キョトンとした顔で、無防備に自分を見つめているマリア。
成長したマリアはとても幼い子どもには見えず、もう立派な『女性』だ。中身だけはまだ幼いことが、余計に危険な香りを漂わせている。
いくらマリアを本当の妹のように思っているレオでも、一緒に寝たなら多少は意識してしまいそうなほど危険だ。
「半年以上前ってことは、16歳だろ? 今だとその、あんまり良くないっていうか、さすがにダメだと思うんだけど……」
「どうして? 16歳はよくて、17歳はダメなの?」
「うーーんと、年齢っていうか見た目というか、精神的な問題っていうか、大人と子どもの境目っていうか……」
「???」
マリアは訳がわからないといった顔で、首を傾げている。
この説明でわかってもらえるとは、レオももちろん思ってはいない。
「お兄様は、17歳はダメなんて言ってなかったよ?」
「それは、その時とは状況が……って、あれ? そういえば、一緒に寝るって……まさか、同じベッドで寝るつもりなの?」
「? それはもちろん。お兄様の部屋にベッドは1つしかないもの」
なぜそんな当たり前のことを聞いてくるのか、理解できない──マリアの考えていることが、顔に書いてある。
理解できないのはこっちの方だ、と言わんばかりに、レオは大きな声を出した。