心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない

 少し経つと、従者が近場の店から買ってきた食事を運んできた。
 この食事はエマのために用意した物である。

 ガリガリのエマを見たジュード卿は、まずは食事をさせることで信用を得ようとしていた。


「どうぞ。お食事をしながら話しましょう。……ああ、毒など入っていないので安心してください」


 不信感満載のエマの視線に気づいたジュード卿は、一口目の前で食べてみせた。

 食事に毒が入っていないとわかったエマは、片手で赤ん坊を抱きながら無我夢中でご飯を口に入れていく。

 数日ぶりの食事の温かさに、エマは涙が出てくるのを止めることができずにいる。
 ポロポロと涙を流しながら食べ続ける様子を、ジュード卿は何も言わずに見守っていた。
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