心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない

「うん。なるほどね。わかった。マリアにとって、背の話と胸の話が同等なのか」

「成長したってことなんでしょ?」

「それはそうなんだけど、んんーー……はぁ。そっかぁ」

「?」


 レオは、何かにすごく納得したようにすっきりとした顔になった後、また困惑の色を滲ませた。
 レオがこんな顔をする時は、マリアには言えない何かを隠している・もしくは言うべきか迷っている時だ。

 マリア様のことを大切にしているからこそ、言いにくいことなんですよ。と、昔ガイルに優しく言われたことをマリアは思い出した。



 エミリーもレオも、昔からこうやって私にはっきりと言ってくれない時があるんだよね。
 どうして男の人に胸の話をしたらいけないのか、あとでエドワード様に聞こうっと。
 エドワード様ならちゃんと教えてくれるし。



 マリアが心の中でそんな恐ろしい決意を固めているとは知らず、レオはとりあえず話を戻すことにした。


「そういえば、昨夜の話が途中だったけど……グレイに抱きついた後、その、ど、どうしたの?」

「どうしたのって?」

「まさか、一緒に寝たの?」

「…………」


 マリアはレオのまん丸い子犬のような瞳を見ながら、昨夜のことを思い出した。
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