心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
兄と何かあったらすぐに俺に教えろ! って言われてるし、今回のことも相談していいよね?
お兄様がマリアと一緒に寝てくれなかったのはなんでだろうってことと、男の人と胸の話をしたらダメなのはどうしてなのか、この2つを聞いてみよう!
「……あれ? マリア。さっきまで納得いかない顔してたのに、今はちょっとスッキリしてるね? わかってくれたのかな?」
レオが、少しホッとしたような顔で言った。
本当はまだ理解できてないことばかりだが、ここは肯定しておいたほうがいいだろう。
ずっと困った顔をしていたレオに申し訳ない気持ちになったマリアは、コクリと頷いた。
「よかった! じゃあ次からは、マリアもちゃんと自分が17歳のレディであることを忘れない行動を取るように! わかった?」
「わかった」
17歳のレディであることを忘れない行動?
全くわかっていなかったマリアだが、明日エドワード王子に教えてもらえるし……と思い、その場はわかったとウソをついてしまった。
この時レオに「エドワード王子に相談してみる」と話していたなら、全力で止められることになっただろう。
自分がとても恐ろしいことをしようとしているとは知らず、マリアは明日を楽しみにしているのだった。