心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
「……いや、待てよ。そんな話題をするということは、そいつはマリアの胸をじっくりと見たということか? 投獄だけでは足りないな。即処刑するか。いや……でもすぐに殺すよりも、拷問して苦しめたほうが……」
「エエエエドワード様っ!!」
ブツブツと何やら恐ろしいことを言い始めたエドワード王子を、マリアが必死に止める。
この話題を出してしまったことを、マリアは後悔した。
まさか、こんなに怒るなんて……!
レオの言う通り、男の人に胸の話をしたらダメだったんだ!
「だっ誰とも話してないの! 私がレオにそんな話を振ったら、レオにダメだよって言われただけで……」
「……本当か?」
「本当!!」
マリアが半泣き状態でエドワード王子を見つめると、王子は「……う」と悔しそうな声を上げた。先ほどまでの、殺気漂う恐ろしい空気ではなくなったのがわかる。
まだどこか納得のいかない顔をしながら、王子はマリアをジロッと軽く睨みつけた。
「それならいい……が!! 今後は、男にそんな話題を振るなよ! たとえ相手がレオでも兄でもだ!」
「…………」
「わかったか?」
「……うん」
まさにその兄とした会話だとは言えず、マリアは素直に返事をするしかなかった。