心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない

「……それはなぜだ?」

「ちょっと不安なことがあったから、お兄様と一緒に寝たくて……」

「……昨日が初めてではないということか?」

「はい」


 ガンッ!!


「エドワード様っ!?」


 冷静に話していたはずのエドワード王子が、急にテーブルに頭……というより額を強く打ちつけた。王子の拳を作った両手はプルプルと震えている。
 マリアは慌てて立ち上がり、王子に手を伸ばした。


「大丈夫!? あっ! おでこが赤くなってる! 今治癒の力で……」


 顔を上げたエドワード王子は、おでこに触れようとしたマリアの手を掴んだ。
 体温の高い王子の、少し熱いくらいの大きな手が、マリアの小さく細い手をギュッと握りしめる。
 エメラルドの綺麗な瞳は、ジッと至近距離にいるマリアを真っ直ぐに見つめている。


「エドワード様? 治癒を……」

「マリア」

「何? 早く治癒を……」

「結婚しよう」

「…………ん?」

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