心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
74 エドワード王子からの爆弾発言
窓の外から聞こえる賑やかな声で、エドワード王子が屋敷に到着したのだとわかったグレイは、小さなため息をついてガイルに問いかけた。
「……応接間に案内するのか?」
「いえ。エドワード殿下から、『話はすぐに終わるからそのままでいい』という伝達を承っております」
「何?」
立ち上がろうとしたグレイは、眉を顰めながらもまた椅子に座り直した。
突然やってきた王子。話はすぐに終わるという。
一体なんだというのか……と、グレイは執務室の扉を見た。
数分もしないうちにその扉は開かれ、マリア以上に成長したエドワード王子が部屋に入ってくる。
直接会うのはいつぶりだろうか。
今ではグレイの身長とほぼ変わらない王子の姿に、グレイは心の中で舌打ちをした。
「……エドワード殿下、本日は突然どうされたのです?」
グレイが立ち上がってそう声をかけると、遅れてマリアが部屋に入ってきた。足の長いエドワード王子の歩幅に合わず、置いていかれたのだろう。
マリアの横には、この中で誰よりも不安そうな顔をしたレオが立っている。
「マリアの兄であるヴィリアー伯爵に、どうしても早く告げなければいけないことがあってな」
「一体なんです?」
「俺はマリアと結婚する」
「!?」