心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
「では、質問です。マリア、エミリーのことは好きかい?」
「もちろんです!」
マリアが即答したので、エミリーは涙を浮かべながら「マリア様……!」と呟いた。
「じゃあ、俺のことは好き?」
「もちろん」
「ガイルは?」
「好きだよ」
「エドワード殿下のことは?」
「好き」
「じゃあ……グレイは?」
「大好き!」
「なるほど、なるほど」
レオは腕を組みうんうん頷くと、いきなりビシッと机の上の紙を指差した。
マリアの視線がレオから2種類の紙に移る。
「じゃあ、その『好き』がこのどちらに当てはまるのかを考えよう!」
「このどちらか……?」
「そう! いいかい、マリア? 好きには、2種類あるんだ。恋愛かそうじゃないかの2つだ!」
「ええっ! そうなの!?」
堂々と話すレオと、その全てを信じきっているマリアの様子を見て、エミリーが小さな声で横から口を出してくる。
「あ、あの、マリア様。これはあくまで、レオ様のお考えだということをお忘れなきよう……」