心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
「この『恋愛感情』に当てはまるのは、1人だけ。そして……」
レオはもう1枚の紙を指差す。
「マリアが他に好きだと思う相手は、みんな『恋愛のない感情』だ」
「他のみんなは全部こっち?」
「そうだ」
マリアはほぉ〜と驚いたような感心したような顔でレオを見つめた。
知ってて当然の内容を話しているだけだというのに、レオは自分がとても賢くなったような気がしてしまう。
エミリーが微笑ましそうななんとも言えない顔で2人を眺めている。
「先生。その恋愛感情かどうかは、どうやってわかるの? キスをしてみようとしたらわか……」
「マママリアッ! それはとりあえず忘れて!」
レオがやけに焦った様子で止めるので、マリアは言葉の途中で黙った。
はぁーーっとため息をつくなり、レオは続きを話し出す。
「恋愛かどうかを判断できるのは、たぶん自分しかいない。でも、自分の気持ちなのに自分で判断できない時もある」
レオの説明を聞いて、マリアはたまに感じる自分のよくわからない感情があることを思い出した。
グレイを相手にした時にだけ、やけに胸が高鳴ったり鼓動が速くなったりするのだ。
自分の気持ちなのにわからない……っていうのは、よくわかる……かも。