心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
そんなことを考えながら、マリアはレオに質問した。
「じゃあ、どうやったらわかるの?」
「それはですねーー、マリアさん。嫉妬と! ドキドキです!」
「嫉妬とドキドキ……!!」
マリアの顔がまた楽しそうにパァッと輝き、レオもつられてニヤリと笑う。
昔からこの2人を見てきたエミリーは、グレイとマリアよりもレオとマリアのほうが本当の兄妹みたいだと吹き出しそうになるのを我慢した。
「たとえば、俺がマリア以外の女の人と手を繋いで仲良さそうにしてたら、どう思う?」
「レオが? うーーん……誰だろう〜って思うかな?」
「胸は痛む?」
「え? 痛まないけど……」
「ここで胸が痛むのが、その女性に嫉妬してるってことになるんだ! ……まぁ俺はなんとも思われてなくてちょっぴり悲しいけど」
「なるほど」
私以外の女の人と仲良さそうにしてるのを見て、胸が痛むのが嫉妬……。
マリアが頭の中で復習をしていると、レオが突然マリアの手をギュッと握ってきた。
どうしたのかとマリアが見上げると、レオは意味深な笑顔でニコッと笑った。
「じゃあ次ね。今マリアと俺は手を繋いでいるんだけど、どう感じる?」
「どう感じる? んんーー……手を……繋いでるなぁって……」
「プハッ! うん。まぁ、その通りだよね……ハハッ」
何がおかしいのか、レオが吹き出した。
近くに立っているエミリーの肩も震えている。