心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない

「レオは断ってほしいの?」


 肩をガックリと落としているレオにそう尋ねると、なぜかレオはチラリとガイルとエミリーを見た。
 そしてすぐにマリアに向き直り、苦笑いを浮かべながら答える。


「そうじゃないんだけど……。その、マリアはそれでいいの?」

「うん。特に問題ないよ?」

「そう。……あのさ、ガイル。その招待状……グレイにも届いてるんじゃないの?」

「えっ?」


 レオの意外な言葉に、マリアは目を丸くした。
 なぜなら、今まで王宮のパーティーにグレイは誘われたことがなかったからである。……正しくは、パーティー嫌いのグレイが初めから招待状の送付を断っていたからだ。
 グレイが参加しないならと、マリアも聖女としての参加を頼まれた時以外は断ることも多かった。



 お兄様にも同じ招待状が……?



 少し気まずそうにしているレオの質問に、ガイルが冷静に答える。

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