心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
実際は聖女の母親も王宮で大切に扱われるだろう。 高貴な身分をもらえる可能性だって高い。
しかしそれを言ってしまっては、エマは間違いなく聖女を連れて王宮へ行ってしまうだろう。
それを防ぐため、ジュード卿は彼女を騙しているのだ。
「数百年ぶりの聖女だ。みんな血眼で聖女に群がり、貴女たち母子を見せ物にするでしょう」
「そ……そんなひどいこと……」
ガタガタ震えているエマを見て、あと一押しだとジュード卿は思った。
「なので、私の家に隠れましょう。貴女も赤ん坊も、王宮ほどはいかないかもしれませんが大切にいたします。家も食事も風呂もお金も、何も心配のいらない生活を約束いたしましょう」