心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
「でも、あの肌の色や銀色の髪はカッコよかったなぁ! 体格も良くて、すごく強そうだったし!」
急に騎士の目をしたレオが、キラキラと顔を輝かせている。
マリアから見ても立派な体格が目立っていたので、同じ騎士のレオにはさらに目についたことだろう。
やけに嬉しそうなレオの様子を見て、マリアはクスッと笑った。
「そうだね。確かにカッコよかった。瞳の色も夜空みたいでとっても綺麗だったし」
「王太子もあんな感じなのかな? そりゃあ女性にも人気でるだろうね! マリアも気をつけてね」
「大丈夫! 私にとったら、お兄様が1番素敵だもん!」
「おぉ。そこまでハッキリ言われるグレイが羨ましいよ」
だって本当のことだし、という言葉を出さずにマリアはニコッとレオに微笑みかける。
それだけで、十分伝わったらしい。
「まぁ、マリアは大丈夫だと思うけど。向こうがマリアに夢中になっちゃう可能性も高いからな〜。本当に気をつけてよ。王太子だけじゃなくて、騎士とかもね!」
「大丈夫よ。今日はたまたま会っちゃったけど、きっともうパーティーまでは会わないと思うし」
「それもそうか」
……まぁ。とはいえ、なんとなくまたハリムに会いそうな気がするんだけど……言わないほうがいいかな?
なぜか胸に感じる変な違和感を隠したまま、マリア達は王宮を後にした。