心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
私達の家って……まさか……まさか本当に!?
その屋敷は、先ほど行った屋敷よりは小さかったが、平民のエマにとっては十分豪邸と呼べるほどの大きさはある。
ジュード卿はその屋敷の鍵を開けて、エマが入れるように扉を開けてくれた。
「さぁ。ここが今日から貴女たち母娘の家です。好きに使って構いません」
「そんな……こんな大きな家なんて、私には……」
「貴女は聖女を産んだ素晴らしき女性です。このくらいの家に住むのは、当たり前なのですよ。なにせ、聖女様の母なのですから」
「聖女様の母……。このくらい当たり前……?」
「そうです。自分を卑下してはいけません」
「そう。そうね……」
突如与えられた素晴らしい待遇に、エマの心はついていくのに必死だった。