心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない

 私は聖女の母……。
 もう、ボロボロの屋根裏部屋に住むような平民の頃とは違って、これが私がいるべき本当の場所……。



 エマはこの時すでに、ジュード卿に洗脳され始めていた。

 彼の言うことをそのまま聞き入れ、疑うことなくその通りだと信じるようになっている。
 なぜなら、彼はエマの求めていたものを与えてくれる唯一の人なのだから。


「定期的に掃除はさせているのですが、普段あまり使っていないため行き届いてないところも……」


 そうジュード卿が話していると、突然赤ん坊から黄金の光が溢れ出た。
 ジュード卿は驚き、口を開けたまま赤ん坊を凝視する。
< 67 / 765 >

この作品をシェア

pagetop