心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない

「まさか会場に入って間もないというのに、もうエドワード殿下から離れてお食事を?」

「……は、はい。ちょっと甘いものが食べたくて」

「あら。それはいけませんわ、マリア様。殿下のパートナーである以上、ご自分の要望など優先してはいけませんことよ。まず第一に考えなくてはならないのは、殿下のことであり──」



 うう……お説教が始まっちゃった……。



 令嬢としての教養があまりないマリアは、こうして昔から嫌味ばかり言われてきた。マリアがフランシーヌを苦手な理由の一つでもある。
 少しでも反抗すると倍になって返ってくるので、マリアはただ黙って聞いているのが1番被害がないことを学んでいた。



 あーあ……早くケーキが食べたいのに…………ん?



 身動きせずに話を聞いていたマリアは、こちらに近づいてくる人物に目がいった。
 フランシーヌの様子を見て避ける人が多い中、あえてこちらに向かってくる人物──ピンク色の髪をした、可愛らしいご令嬢の姿が。


「何してるんですかぁ〜?」

「……っ」



 この方は……お兄様のパートナーの方!!


< 681 / 765 >

この作品をシェア

pagetop