心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
何も言えずにいるマリアを見て、王太子がフッと鼻で笑った。
疑問に思ったのが伝わったのか、マリアが尋ねる前にその答えを話してくれる。
「見たらわかるヨ。聖女様、顔に出ててわかりやすいカラ」
「ええ!?」
アドルフォ王太子にまで言われた!!!
わかりやすいと言われるのはこれで何回目か。
マリアは悔しいような恥ずかしいような気持ちで顔を歪めた。
「ははっ。デモ、そんなトコロが可愛い」
「…………」
「エドワード殿下と婚約っていうのはウソなんデショ?」
「…………」
「エドワード殿下が好きじゃナイなら、婚約するのは俺でいいんじゃナイかな?」
「…………」
マリアは自分の口を手で押さえ、目を合わせないように横を向いた。
これ以上感情を読まれないようにという意図だったけれど、次の王太子の言葉につい反応してしまった。
「ねぇ、なんで男と女でベッドに横になったら顔が赤くなるのがフツウなのカ、教えてあげようカ?」
「えっ?」
いつもの明るい子どものような笑顔ではなく、大人っぽくニコッと微笑むアドルフォ王太子。
その綺麗な瞳から目が離せない。
なんで顔が赤くなるのか?
その答えがわかったら、お兄様の変だった行動の意味もわかるのかな?
「どうする?」
「……教えてください」
「もちろん、いいヨ」
マリアの答えに、アドルフォ王太子はまた子どものような笑顔になった。