心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない

95 大人になるための練習をしようか?


「じゃあ、まずはソノ服を脱ごうカ?」


 アドルフォ王太子はベッドに横になっていたマリアを起き上がらせて、ニコニコしながら言った。
 そのあまりもの軽さに、マリアはキョトンとしながら聞き返す。


「服? このドレスを脱ぐってことですか? たぶん私だけじゃ脱げないと思います」

「俺が手伝ってあげるカラ大丈夫だヨ」

「でも……ドレスを脱いで何を着るんですか?」

「何も。裸になるんだヨ」

「えっ!?」



 裸になる!?



 アドルフォ王太子がさも当然のことのように言うものだから、マリアは一瞬驚いている自分がおかしいのかと錯覚してしまいそうになった。
 しかし、やっぱりそれはおかしいと思い正直に意見を伝える。


「男の人の前では裸になれないですよ」


 浄化をするための遠征中も、マリアが服を脱ぐときにはメイドたちが覗いている者がいないかを要チェックしていた。
 男性に見せてはいけない。
 それくらい、無知なマリアだって知っている。

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