心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない

「たしかにフツウなら見せないよネ。だから特別なんだヨ。ベッドの上に男女でいたら、特別に許されるのさ」

「……特別に許される?」

「そうだヨ。ベッドの上で男と2人になったら裸になるカモしれナイ。だから恥ずかしくてミンナ顔が赤くなるんだヨ」


 マリアにとっては突拍子もない話だったけれど、妙に納得してしまう。


 そっか。
 だからさっき私の顔が赤くなってないって驚かれたんだ。
 たしかに男の人の前で裸になるのは恥ずかしいもんね。でも……。

 

「でも、なんで裸になる必要があるんですか?」


 男女の特別だと言われても、なぜ裸にならなければいけないのかマリアには理解できなかった。
 お風呂場でも着替え目的でもなく、ベッドの上でというのも理解不能だ。

 そんなマリアの素直な質問に、アドルフォ王太子はどこか楽しそうな様子で答えてくれる。


「裸で抱き合うと、幸せになるカラさ」



 えっ? そうなの?



 初めて聞いた情報にマリアの目が丸くなる。
 質問に答えてもらっているというのに、謎は深まるばかりだ。
 
 

「なんで裸だと幸せになるんですか?」

「大人になるとわかるヨ」

「大人ならわかる……」



 ……じゃあ、お兄様の変な行動の意味がわからなかったのは、私がまだ子どもだから?


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