心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
急にグレイとの距離を感じた気がして、胸がズキッと痛んだ。
子どもの自分では大人のグレイには受け入れてもらえないのではないかと不安になり、マリアの目に涙が滲む。
しかし、次の王太子の言葉にマリアは潤んだ目を輝かせた。
「聖女様も、もう大人になれる年齢だヨ」
「えっ、本当!?」
「ああ。もう17歳だろう? 見た目ダッテ十分大人だし、知っても大丈夫なハズだヨ」
私も大人になれる……!?
マリアの反応を見て、アドルフォ王太子がニヤッと笑う。
さっきよりも少しだけマリアに顔を近づけて、人差し指を1本立てた。
「モチロンなれるヨ。じゃあ、まずはお兄サンと裸で抱き合っているトコロを想像してみて」
「お兄様と……裸で?」
マリアの頭の中に、シャツ1枚着ている薄着のグレイが浮かぶ。
そのグレイがシャツを脱ぐ姿を想像して、マリアはボッと顔を赤くした。
そんな反応を予想していたのか、マリアの様子を見ていた王太子がフッと鼻で笑いながら話を続ける。
「まぁ、最初はお兄サンの前で裸になるのは恥ずかしいと思うケド……」
「そうです! お兄様の裸なんて恥ずかしくて見られないっ!」
「あ。そっち?」