心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない


 私を騙してここに連れてきたりしたけど、エドワード様が言うほど悪い人ではないと思うなぁ。


 
「ありがとうございます。アドルフォ王太子殿下。でも、いくら練習とはいえやっぱり裸になるのは……」


 マリアが断りの言葉を話し出した瞬間、握られていた手を広げられ、そのままベッドに押し倒されてしまった。
 手首を押さえつけられていて、まったく動かせない。


「えっ? あの、王太子殿下……?」

「ゴメンネ、聖女様。でも、今しかチャンスがないんだ。だからこのまま続けてもイイかな?」

「続けるって、何を……」


 怪しい笑みを浮かべるアドルフォ王太子の顔が近づいてきたとき──

 ガチャガチャガチャ!!!


「!!」


 ものすごく乱暴にドアノブを動かす音が部屋に響いた。
 マリアをここに案内したメイドは部屋に入っていなかったし、いつ誰が鍵を閉めたのだろうと考えていると、どこから出てきたのかガブール人の騎士が扉の前に立った。



 えっ!? あの人、どこにいたの?


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