心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
綺麗なドレスを着ることもなくなり、寝巻きのような白いワンピースだけを与えられた。
もちろん洗濯などの替えすら与えられず、マリアは毎日浄めの力で清潔を保っている。
さらに、貴族相手に聖女の力を使う時以外は自身の部屋から出ることを禁止され、1日中部屋の中で過ごさなければならない。
マリアは手がかからず、赤ん坊の頃からほぼ泣くことがなかった。
まだ3歳だというのに、そんな状況になってもマリアは泣いたり文句を言ったりもしない。
『子どもらしさがない』というのも聖女の特徴なのだろうか……とジュード卿が思ったことがあるくらい、マリアには普通の子どものようなところがなかった。
美少女ではあるが笑顔になることもなく、声を発することもない。
たまに返事をすることがあるので、喋れないわけではないはずである。