心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
「あの、アドルフォ王太子のことも……あまり責めないで。遠い国だからきっともう会うこともないと思うし、ガブール国との友好条約がなくなったらこの国にとってもマイナスでしょ?」
「…………」
「私も、もう絶対に王太子には会わないから。ね? お願い」
マリアの健気で甘えるようなお願いに、エドワード王子は悔しそうに歯をギリッとさせて拳を握りしめた。
まるで自分の意思を必死に我慢するように堪えたあと、ふーーっと大きく息を吐く。
「……わかったよ! その代わり、今後の貿易については全部こっちの有利に進められるように交渉してやる! もちろん、マリアにも二度と関わらせない!」
「うん。仲違いするより、そっちのほうが全然いいよ」
やっとニコッと笑ったマリアを見て、王子が呆れたようにため息をつく。
「ただし、これはあくまでマリアが無傷だったからの処置だぞ。もしマリアに何かあった場合は、どんなに反対しようがその加害者には重い罰を与える! わかったな?」
「わ、わかった。次からはもっと気をつけるね」
私の不注意で誰かが処刑でもされたら大変!
本当にこれからは気をつけなくちゃ!