心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない

 しかしこの日、マリアにとってまた生活が一変するようなことが起きる。


 ジュード卿とエマが死んだのである。


 この日、2人は隣街で開かれた闇のオークションに参加するため、夕方に屋敷を出発した。
 もちろんマリアを連れて行くことはしない。

 2人の乗った馬車に大きな貨物馬車が衝突してきたのは、屋敷を出発してすぐのことであった。

 身体を強打して全く動かせない状態でも、ジュード卿にはまだかすかに意識があった。
 目の前には、すでに覚めることのない眠りについているであろう血だらけのエマの姿が見える。
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