心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
薄れていく意識の中、ジュード卿の頭の中にはマリアの姿が浮かんでいた。
マリアを一緒に連れてきていれば、助かったというのに……!
すぐそこに聖女がいるんだ……!
マリア、俺を助けろ……!!
ジュード卿はすでに声を出すこともできない状態であった。痛みもあまり感じず、自分がここで死ぬのだということを受け入れ始めている。
まさか、この俺がこんな最期を迎えるとは。
マリアを……伝説の聖女を蔑ろに扱った報いなのだろうか……。
激しい後悔の中、ジュード卿はその目を閉じた。