心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない

 薄れていく意識の中、ジュード卿の頭の中にはマリアの姿が浮かんでいた。



 マリアを一緒に連れてきていれば、助かったというのに……! 
 すぐそこに聖女がいるんだ……!
 マリア、俺を助けろ……!!



 ジュード卿はすでに声を出すこともできない状態であった。痛みもあまり感じず、自分がここで死ぬのだということを受け入れ始めている。



 まさか、この俺がこんな最期を迎えるとは。
 マリアを……伝説の聖女を蔑ろに扱った報いなのだろうか……。
 


 激しい後悔の中、ジュード卿はその目を閉じた。
< 76 / 765 >

この作品をシェア

pagetop