心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない

「はぁ……はぁ……。ジュード卿と……エマ様が……事故に遭われて……お、お亡くなりに……」


 顔面蒼白、視線も定まらず、この言葉もマリアに向けてというよりは独り言のような呟きであった。
 膝から崩れ落ちて呆然としているキーズを、マリアはポカンと見つめる。



 オナクナリ……?
 事故って、あのみんな大きな怪我をするやつかな?



 マリアは、今までに治癒してきた貴族達の姿を思い浮かべた。
 足の骨が折れている者や、意識のない者を抱え込まれたこともあったが、マリアは全て完璧に治癒してきている。



 あの2人が怪我をしたの?
 私なら治せるよ?
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