心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
鍵を開けて中に入る。
真っ暗な室内には月の光しか明るさがない。
カーテンが開けたままになっているため、そのわずかな光でもなんとなく室内の様子を見ることができた。
特に荒れた様子も、不自然なほど高級な調度品などもなく、普通の貴族の家といった感じだ。
グレイは書斎を探して、それほど大きくない2階建ての建物の中をゆっくり歩き回った。
どの部屋も綺麗に片付いていて、あまり人が使っている気配を感じられない。
端から順番に部屋を確認していたグレイは、2階1番奥の部屋へ入るなりその異物に目を奪われた。
部屋の真ん中にはグレイの身長と変わらない高さの檻が置いてある。
部屋の中に大きな檻?
猛獣でも飼ってるのか?
そんなことを考えながら檻に近づいたグレイは、その中にいる人物を見て目を見開いた。
薄暗い部屋の中でもわかるほどの美しいプラチナブロンドの長い髪。
両目には真っ黒の眼帯がつけられ、片足は鎖で繋がれている幼い少女がそこに静かに座っていた。