心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
檻からも出してもらえず、ただただ毎日檻の中で過ごしていた時……イザベラがやってきた。
ある日突然キーズが連れてきた女性。
ガリガリに痩せた身体、ボサボサの髪、痩けた骸骨のような顔。
今までマリアが見たことのないその惨めな姿の女性は、檻の前に立つなりマリアを凝視してきた。
「この子が……あの女の、子ども? そして……聖女なの?」
「そうです」
「ジュード様の子どもなの……?」
「違います」
イザベラとキーズの会話を、マリアは静かに聞いていた。
顔には出ていなかったが、ジュード卿が父ではなかったということに、マリアは軽く衝撃を受けていた。