心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない

 檻からも出してもらえず、ただただ毎日檻の中で過ごしていた時……イザベラがやってきた。

 ある日突然キーズが連れてきた女性。
 ガリガリに痩せた身体、ボサボサの髪、痩けた骸骨のような顔。

 今までマリアが見たことのないその惨めな姿の女性は、檻の前に立つなりマリアを凝視してきた。


「この子が……あの女の、子ども? そして……聖女なの?」

「そうです」

「ジュード様の子どもなの……?」

「違います」


 イザベラとキーズの会話を、マリアは静かに聞いていた。
 顔には出ていなかったが、ジュード卿が父ではなかったということに、マリアは軽く衝撃を受けていた。
< 82 / 765 >

この作品をシェア

pagetop