心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない

 パパは、マリアのパパじゃないんだ……。



 衝撃ではあったが、特に傷ついたりはしていない。
 それよりも、今目の前にいるこの女性が誰なのかのほうが気になっていた。


「じゃあ……ジュード様があの女を連れてきたのは、この聖女でお金を稼ぎたかったからなのね……? あの方は、お金が大好きだったから……」

「……そうです」


 骸骨のような女性が嬉しそうに笑っている姿は、不気味であった。
 後ろに立っているキーズもつい昨日までは屍のようだったため、同じように頬が痩けていて気味の悪い顔をしている。


「ジュード卿が亡き今、イザベラ様にこの聖女のことを管理していただきたいのです」


 キーズの言葉に、イザベラはニヤリと笑った。
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