心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
「そうね……。あの女の娘を使って、私がたくさんお金を稼いでみせるわ……。私にだって、それくらいはできるのよ……うふふ……」
じろーーーーーーっと舐めるようにマリアを見つめていたイザベラは、不気味な笑みを浮かべたままフラフラと部屋から出ていった。
「今すぐに、他の執事や使用人を集めて……。あ、グレイ……。私の息子……グレイも呼んで……。私がこの伯爵家を継ぐと伝えなくては……」
グレイ。その名前が、やけにマリアの頭に残っていた。
次の日から、イザベラによるあらぬ振る舞いの日々が始まった。
部屋に出されるのは、聖女として貴族に治癒する時のみ。
あとはずっと檻の中で、足に鎖をつけられた状態で監禁された。
黄金の瞳を隠すように、両目には黒い眼帯をつけられる。
しかし、聖女の力なのか……眼帯をつけていても、うっすらと見ることができた。