心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない

 次はここだ……。



 とうとう自分の部屋の扉が開けられ、スタスタと檻に近づいてくる足音が聞こえる。

 マリアが格子の方に顔を向けていると、黒い人影が現れた。
 イザベラやキーズと比べると背が低い。髪型や服装の形から、少年だというのがわかる。



 子ども……? だれ……?



 マリアは黙ったまま少年を見つめた。
 言われてなくても声はかけなかったと思うが、マリアはイザベラから誰とも話すなと命じられていた。

 
「お前は誰だ?」


 ──マリアだよ。


 少年が問いかけてきたが、イザベラから声を出すことを禁止されていたマリアは何も答えることができない。
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