心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
2 監禁されている女の子
その部屋はまるで上級貴族向けの応接間のようだった。
低めの小さな長方形のテーブル、それを囲うように置いてある質の良い長ソファ。
部屋の隅に置かれたキャビネットも、この別邸には不釣り合いなほど高級品のように見える。
だがそんな部屋の中で特に異質を放っているのが、今グレイの目の前にあるこの檻だ。
高さは13歳のグレイの身長とほぼ変わらない。
部屋が暗くて中がどうなっているのかはよく見えないが、間違いなく人間用に作られた物ではないことくらいわかる。
鉄格子がはめられたその獣用の檻の中に、4、5歳くらいの女の子が1人ポツンと座っていた。