心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない

「おい。起きろ」


 突然起こされることにも、マリアは慣れている。
 いつもは寝ているところを起こされても特に何も感じないのだが、マリアの心は少し浮ついていた。

 声で、この前来てくれた少年だとわかったからである。



 また来てくれた……。



「今日この部屋で黄金の光が出ているのを見た。あの光を出したのはお前か?」


 少年からの質問に、マリアはコクリと頷いた。
 またこのやりとりができるのかと、今度はどんなことを聞かれるのかと、マリアの心は踊った。


「あの光は、聖女の光ではないのか?」


 ──セイジョ? マリアはマリアだから、セイジョじゃないよ。でも、マリアのことをセイジョって言う人もいるけど……。
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