心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない

 マリアは正解がわからなかったため、何も反応できなかった。


「それは、誰にも言うなと口止めされているのか?」


 ──そんなことは言われてないよ。


 マリアは首を横に振った。


「口止めではない? ……では、まさかお前は聖女を知らないのか?」


 マリアはコクリと頷いた。

 聖女という言葉を何度も聞いたことがあるが、それが何を意味しているのか……マリアは知らない。
 物心がついてから、丁寧に教えてくれる人などいなかったからだ。
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