Sherry~君の傍にいつまでも










「今日はオーブリーの日ね。お土産はリンゴでいい?」
「うーん…今日のお土産はチョコレート!!」
「犬にチョコレートは…でもいっか。天国で食べるものにルールなんて無いわね」
「ママ!!今日私がオーブリーの絵を持ってもいい?」
「大事にしてよ?ママの大事な絵なんだから」








 ローズと慌ただしく用意をするローズと瓜二つの女の子。
 僕が眠るお墓に、甘くて夢中になってしまうチョコレートを持ってくるらしい。

 残念ながら視力低下が限界値まで来てしまい、全て暗闇の世界になってしまったローズ。この視界のせいで、去年僕の命日のお土産のクラッカーのつもりが、チョコレートだったということがあったんだ。
 そのお陰で僕はこのチョコレートの虜になってしまったよ。
 生きている時に食べていたら大問題だったけどね。


「私もオーブリーと歩いてみたかったなぁ」
「ママも……。もう一度彼と歩きたいわ。彼と歩く時って、何だか恋人みたいにドキドキしてワクワクもしたけど、何て言うのか……彼に守られているような感覚がとっても愛しい時間だったわ」
「パパより?」
「それは内緒」




 ねぇローズ。
 夢だと話していた子供のこと。ちっとも夢じゃなかっただろ?
 そして心配していた絵の仕事も。

 盲目と知っている彼女の事情を、同じ画家の彼がアシスタントとして手助けをしてくれて大成功したんだもんね。君の個展、空から見ていた。そしてローズ達が互いに惹かれるのは時間の問題かと思っていたけど……悔しいけど僕の次にお似合いだと言ってあげるよ。

 だけど勘違いしないでくれ。
 一番彼女にふさわしいのは僕であり、一番愛しているのはこの僕だ。その証拠に…。おっとそろそろ時間がきたかな?







「あ……待って。産まれるかも」
「パパー!!ママが赤ちゃん産まれるかもだって!!」






 生まれ変わりは人間が良いと神様にお願いはしたけれど、ちょっと予想と違ったかな?
 だけどこれでいいや。君の傍にいられるなら、直接言葉で愛していると伝えられるなら。



 愛しているよローズ。
 また君と会えるのを楽しみにしてる。





 【完】

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