Sherry~君の傍にいつまでも
木々の葉っぱの色が変化し、秋の収穫を祝うお祭りが外を歩けば聞こえてくる。
人混みの中を歩くのは、少し難しいローズ。メインのお祭りは流石に危険と自分でも判断したが、気分転換に何処かの村で行われる規模が小さいお祭りを僕と行く。
賑やかな音楽が流れ、お祭りで飲むワインの至高の味にどこもかしこも周りは陽気に躍りだし、大人も子供も笑顔で溢れかえっていた。
「なんだか皆楽しそうね!空気がそう言ってる!」
ワクワクするローズに、ソワソワする僕。彼女を守る役目とは言え、酔っぱらいが僕達に絡んでくることが多々あるからだ。他人に声をかけられても、社交性のある彼女はつい話し込んでしまうのも難点だし、そもそも僕とローズの時間を邪魔されるのはもっての他だ。
何より白杖の盲目の女性と、その女性と並ぶ僕の姿は注目の的になるだろう。歩いても歩いても、話しかけてくる人々の群れに僕の彼女を守る集中力が途切れてしまう。
人々を避ける僕と、その人々の受け答えをしようとするローズ。お互いの感情が我先になり、並んで支えていた手が離れ、視界がままならないローズは僕を探そうとバランスを崩して地面に倒れてしまった。
「ローズ!!」
慌てて駆け寄り、彼女の顔にキスをする。
「オーブリーごめんなさい……私。こんなに人と関わるのは久しぶりで、貴方の事をついおざなりにしてしまったの。本当にごめんなさい……」
白杖も手から離れ、僕は彼女に渡す。こういう時は手を貸してあげるのが一般的だが、ローズは【自分で出来ることは自分で】と、ポリシーがあり、周りにいた酔っぱらい達の声かけにも凛として断り、自分の力で立っていた。
「行きましょうオーブリー。大丈夫よ」
流石に少し反省したのか、次からは酔っぱらいの声かけには聞こえないフリをしながらまた僕と並んで歩いて行った。
彼女の強くて美しい勇姿が僕としては誇らしい。
そんな秋の出来事。