運命の人

 「俺にだってちゃんと感情はある」

 言えば紗香が同意してくれた。

 「玲は表に見せないだけよね。でも今は顔に出ちゃうくらい感情的になっている。興味深いわ。玲が浮き足立つくらいに一目惚れした相手なんて。一体どんな子なの?」

 「そうだな」

 丸顔の童顔。ふっくらとした白い頬。肩くらいまでの黒髪で、唇は小さめ。背は高くも低くもない。
 大きな黒目が特に印象的でジッと見つめられると吸い込まれそうな感覚に陥る、不思議な魅力を感じさせる女性だった。

 「ちょっと玲?思い出しているだけじゃなくて教えなさいよ」

 「どうせ美人なんだろ?」

 過去の彼女を知る二朗が当たり前のことを聞くなとばかりに答えたが、過去の恋人とは全然違う。

 「可愛いタイプの子だよ」

 答えると二朗が驚いたように目を見開いた。

 「タイプじゃないだろ?」

 「そこ、俺も不思議なんだけど」

 「会った瞬間に惹かれた?」

 紗香に聞かれて頷くと、続け様に質問が投げかけられた。

 「少ししか会っていないのになぜかずっと頭から離れなかったりする?」

 この質問にも首を縦に振る。

 三日前からずっと彼女のことばかり考えていて、また会いたいと強く思い、夢にまで見るくらいに恋焦がれている。
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