運命の人
「玲が出会ったその子、ツインレイなんだと思う」
「ツインレイ?」
紗香の言葉に反応した二朗がすぐにスマートフォンで調べ始めた。
俺はビールグラスに口を付けたまま画面をのぞき込む。 「ツインレイとは、スピリチュアルな世界での概念のひとつで、この世に存在するたった1人の「運命の相手」のこと。会える確率は0.1%!すごいな。その0.1%の運命の相手に玲は巡り会えたってことか?」
どうだろう。
俺には運命の相手というのはおとぎ話の作り物のような気がしてならないし、スピリチュアルは信じるか、信じないかの問題だと思う。
「たしかチェック項目があったはずよ」
紗香は二朗の手からスマートフォンを取り、画面をスクロールして調べていく。
「うん。やっぱりいくつかは当てはまるわね」
「お。ツインレイとのセックスは今までに感じたことのない一体感や快感、幸福感を抱くようになる、だって。楽しみだな、玲」
二朗は楽しそうに言うけど、下世話な話だ。
黙っていると二朗は紗香に話を振った。
「俺は紗香とするの、好きだよ。ツインレイかな?」
「どうかなー?でも私も好きよ、二朗とのセックス」
この二人は……。
少しは恥じらうか、場をわきまえた発言をしろと思う。
それは見聞きしていたマスターも同じらしく、目が合った時、困ったように笑っていた。