運命の人
①寝かせてあげる。
②起きた時気まずいだろうから起こす。
③少しだけ身動いでみる。
今回は③番を選択して少しだけ身動いでみることにした。
するとその拍子にフワッといい香りが鼻先をかすめた。
ほのかに香る、どこか懐かしさを感じさせる甘い香りに鼻先を男性に近づける。
どこで嗅いだ匂いだろう。
思い出せない。
でも安心する香りに魅かれて近付けば近付くほど男性との距離は縮まり、ついには髪が頬に触れてしまうくらい近付いてしまった。
それでも離れることをしなかったのは、実家で飼っていた猫に似た茶色の、しかも柔らかな毛の肌触りとなつかしい香りが相まって、眠りの世界へと落ちてしまったから。