運命の人
 「おはよう」

 一刻も早く会いたくて待ち合わせ場所に30分も早く到着。
 でも早く出て正解だった。

 「あれ?時間」

 彼女は戸惑ったように腕時計と俺の顔を交互に見ている。
 その姿がすごく可愛らしくて思わず笑ってしまった。

 「少し早いけど。ここから車で1時間は掛かるから行こうか」

 そう言えば彼女は頷き、それからペコリと頭を下げた。

 「今日はどうぞよろしくお願いします」

 「ハハ」

 可愛過ぎる。

 「こちらこそよろしくお願いします」

 同じように頭を下げて応えると彼女は一瞬戸惑ったようだが、すぐに笑ってくれた。
 その笑顔の破壊力ときたら半端なくて。
 抱き締めたくなる衝動を抑えるのに必死だった。

 「今日はさすがにスーツじゃないんだね」

 パンツスーツの彼女も素敵だったが、ワンピースは彼女にとても似合っている。
 ただ、彼女の可愛さを増幅させてしまっているせいで周囲の男の目が釘付けだ。

 「ちょっとごめん」

 俺は彼女の手を取り、周りに見せつけるようにしっかりと繋ぐ。

 「え?あ、あの」

 驚いたのか、動揺し、気恥ずかしそうにしている。

 「駐車場はこの少し先なんだけど、人通りが多いから…って、ダメだった?」

 聞けば彼女は少し考えた末、首を小さく横に振った。
 頬も薄ら赤くなっている。
 この反応はー。
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